グローバル展開を成功に導く小売業の新たな形

目次

参考書籍:進撃のドンキ 知られざる巨大企業の深淵なる経営

進撃のドンキ 知られざる巨大企業の深淵なる経営

作品詳細

  • 発売日 : 2024-08-02
  • シリーズ : 進撃のドンキ 知られざる巨大企業の深淵なる経営 
  • ジャンル : 経営 
  • 作者 : 酒井大輔 
  • 出版社 : 日経BP 
  • 価格 : ¥2090

異端児ドン・キホーテの「ド真面目」な経営に、日経ビジネス記者が迫る。創業者・安田隆夫氏の肉声もたっぷり収録。
◎現場が好き勝手やっているのに、しっかりと利益が上がるのはなぜか?
◎カリスマ創業者・安田隆夫氏が退いてから、成長がさらに加速したのはなぜか? 
◎出店反対運動に放火、前社長の逮捕……数々の”事件”を乗り越えられたのはなぜか?
―― 権限委譲によって仕事はワーク(労働)ではなく、ゲーム(競争)になる!

★東京大学教授・柳川範之氏、推薦!
“異端企業躍進の秘密を、丁寧な取材と多面的な議論から明らかにした良質なケーススタディー。若い人たちの発想やチャレンジを重視する企業風土と、強いパーパス、強いミッションの組み合わせが重要で、変化の速い市場にフィットしている。”
★経営学者・楠木建氏、推薦!
“成熟しきったかに見える小売業界で、「この手があったか!」と思わせる。そこに戦略の醍醐味がある。”

気づけば売上高2兆円の巨大企業。今や「セブン、イオン、ドンキ」と称され、総合小売3強の一角をなす。怒涛の34期連続増収増益を支えるのは、小売業界の王道「チェーンストア理論」に反旗を翻す、逆張り戦略。「ポップ洪水」に「圧縮陳列」。アルバイト店員に商品の仕入れから値付け、陳列まで”丸投げ”して、ドキドキ・ワクワクにあふれた「売り場」ならぬ、「買い場」をつくる。目指すは、理念の力で永続する『ビジョナリー・カンパニー』だ。

[目次から]
第1章|日本の食は「第2の自動車産業」
…まるで日本の「デパ地下」/ロサンゼルスで「トーキョーセントラル」
第2章|変幻自在の店づくり
…全国で勃発「しくじっちゃいました」/「Z世代の聖地」になったドンキ/東京駅で菓子と酒に「全振り」/小売業はアミューズメントだ/”コピペ厳禁”店舗デザインもドンキ流/「店内でラップバトル」が広告になる
第3章|型破りの商品づくり
…”主張強め”のパッケージ/みんなの75点より、誰かの120点/意外とドまじめ!? 商品会議に潜入/Z世代がゆるくつながるラボ誕生/顧客の「マジ」な声を受け止める/ユニーが”改心”!? 「価格総選挙」
第4章|仕事をゲームにする仕組み
…「ミリオンスター」と「アンサーマン」/圧縮陳列を競う伝説の「D鉄」/「バイト上がり」が活躍するドンキ/髪色でも個性を貫け
第5章|ドンキ流が総合スーパーを救う ―小売り”第三極”の布石―
…実験場となった「ダブルネーム店舗」/ドンキを強くした「ユニーの生鮮」/チェーン店よさらば、自ら業態を創造せよ/入社2年目の”国王”誕生!? 「変身共和国」/ユニーを変えた、知られざる「商売人たちの系譜」
第6章|創業者・安田隆夫
◎ インタビュー「店は作品、店員が主役だ」
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
創業会長兼最高顧問
安田隆夫氏
第7章|真のCEOは「源流」
◎ インタビュー「社長は会社の主役にあらず」
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
代表取締役社長CEO ドン・キホーテ社長
吉田直樹氏

【コラム|データで知るドンキ】「泥棒市場」から小売り4位に躍進
【コラム|ドンキ公式キャラクター】ゆるキャラの元祖? 「ドンペン」がZ世代に人気
【コラム|こんなところにもドンキ】ついに全国制覇!? 離島にも進出
【コラム|まだある、ドンキ発ヒット商品】「テレビじゃないテレビ」から「羽織る魔法瓶」まで…

\ 詳しくは↓のページより /

ドン・キホーテのグローバル戦略

アジア市場への新業態導入

ドン・キホーテは、アジア市場において独自のビジネスモデルを確立しています。特にシンガポールでは、「ドンドンドンキ」として知られる新業態が登場し、日本のデパ地下の魅力を再現しています。生鮮食品や惣菜、寿司、たこ焼きなど、多様な商品が並ぶこの店舗は、シンガポールの消費者に大きな支持を得ています。これにより、ドンキは地域の消費者に向けて日本の「ジャパンブランド」を強調し、確固たる地位を築いています。

さらに、ドン・キホーテはタイ、マレーシア、香港などにも進出し、現地の文化に合わせた商品展開を行っています。各国の顧客ニーズに応じた商品を提供することで、顧客の関心を引き、売上を向上させています。

飲食業とのシナジー効果

ドンキのもう一つの特長は、「物販飲食」という新しいビジネスモデルです。店舗内には飲食スペースが設けられ、顧客は新鮮な料理を楽しむことができます。たとえば、「鮮選寿司」や和牛を使った料理は、訪れる人々に人気です。このように、物販と飲食を融合させることで、顧客に新たな体験を提供し、再来店を促す効果があります。

ドンキは、飲食業とのシナジーを生かし、顧客の滞在時間を延ばすことで、全体の売上を向上させています。これにより、顧客が楽しむ空間を提供し、単なる買い物ではなく、エンターテイメントとしての体験を重視しています。

「主権在現」経営の徹底

現場の権限委譲とその効果

ドン・キホーテの成功の鍵は、「主権在現」という理念にあります。この理念は、現場に権限を委譲し、店舗スタッフが自らの判断で業務を行うことを奨励しています。これにより、消費者との接点が増え、顧客ニーズに迅速に対応できる環境が整います。

現場のスタッフは、商品の仕入れや陳列、プロモーションを自ら考え、実行することが求められます。このアプローチにより、店舗ごとに独自の魅力を発揮し、多様性に富んだ店舗展開が実現されています。

失敗から学ぶ企業文化の構築

ドン・キホーテは、失敗を恐れずに学ぶ文化を築いています。たとえば、売れ残った商品を「ドすべり」コーナーで特価販売する取り組みは、顧客の関心を引きつけることに成功しています。このように、失敗をユーモラスに受け止め、ブランドへの親近感を高める方法は、顧客の支持を得る要因となっています。

また、「しくじり市」というイベントを通じて、仕入れすぎた商品を特価で販売する試みも行い、新規顧客の開拓や既存顧客のリピート促進につながっています。この文化は、店舗スタッフに自由な発想を促し、経営の柔軟性を確保するのに寄与しています。

アミューズメント化する小売業の魅力

買い場の楽しさと顧客体験の向上

ドン・キホーテでは、商品を販売するだけでなく、顧客に楽しさを提供することを重視しています。「CV+D+A」の理念—便利さ、安さ、楽しさ—を基にした買い場づくりは、顧客の再来を促す重要な要素です。店舗内にはお祭りのような雰囲気が漂い、顧客は商品を探しながら楽しむことができます。

このように、買い物をエンターテイメントとして捉え、顧客に特別な体験を提供することで、ドンキは他の小売業者とは一線を画しています。顧客が自らのペースで探索し、新たな発見を楽しむことができる店舗設計が功を奏しています。

Z世代をターゲットにした店舗戦略

新たに開設された「キラキラドンキ」は、Z世代をターゲットにした店舗で、特にコスメやスキンケア商品が人気を集めています。店内はピンクを基調としたデザインで、若い女性たちが訪れたくなる魅力的な空間が広がっています。この店舗では、スタッフが同世代であるため、Z世代のトレンドを敏感に捉え、顧客ニーズに合った商品を提案することができます。

このように、ターゲットに応じた店舗戦略を展開することで、ドン・キホーテは新たな顧客層を開拓し、ブランドの魅力を高めています。Z世代に特化した商品ラインナップと店舗デザインは、競争の激しい市場においても大きな強みとなっています。

持続可能な経営と社会貢献

環境への配慮と取り組み

ドン・キホーテは、持続可能な社会の実現に向けて、環境への配慮を重視しています。店舗運営においては、環境に優しい素材の使用やエネルギー効率の高い設備を導入することで、エコロジカルな取り組みを推進しています。廃棄物の削減やリサイクルにも力を入れ、地域社会との連携を通じて環境保護に寄与しています。

このような環境への配慮は、顧客からの支持を得るだけでなく、企業の社会的責任を果たす重要な要素でもあります。持続可能な運営を実現することで、ドン・キホーテは長期的な成長を目指しています。

地域社会との連携と貢献

ドンキは、地域社会との関係を大切にし、地元の特産品を積極的に取り入れるなど、地域貢献に努めています。地域の生産者と協力し、地元の魅力を発信することで、地域経済の活性化にも寄与しています。このような取り組みは、顧客の支持を得るだけでなく、地域社会との信頼関係を築く重要な要素となっています。

また、地域に根ざしたイベントやキャンペーンを通じて、地域住民との関係を強化し、地域に愛される企業としての地位を確立しています。

経営革新と人材育成の重要性

現場スタッフの育成と自由な発想

ドン・キホーテの成功を支えている要因の一つに、現場のスタッフに対する徹底した権限委譲と育成があります。各店舗のスタッフは、自らの判断で商品を仕入れたり、陳列を行ったりすることが求められています。これは単に商品を売るだけでなく、店舗ごとに独自の買い場を作り出し、顧客に新たな発見と楽しみを提供するためです。

スタッフの育成においても、現場での実践を重視し、失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えています。この柔軟な発想を促す仕組みが、ドン・キホーテの店舗の多様性と独自性を支えています。店舗ごとに異なる商品ラインやレイアウトが生まれるのは、この現場主導の経営モデルの成果です。

さらに、ドンキは「メイト」と呼ばれるアルバイトスタッフに対しても同様の自由度を与え、ポップの作成や商品の並べ方に関するアイデアを尊重しています。このような現場の柔軟性が、顧客にとって楽しい買い物体験を提供し続ける原動力となっています。

多様性を重視した企業文化の醸成

ドン・キホーテは、多様なバックグラウンドを持つスタッフが活躍できるインクルーシブな企業文化を大切にしています。特に、新たに展開する「キラキラドンキ」など、Z世代をターゲットにした店舗では、同世代のスタッフが重要な役割を果たしています。Z世代のトレンドやライフスタイルを的確に把握することで、顧客のニーズに応え、リピーターを増やしています。

このような多様性を尊重した企業文化が、顧客のニーズに素早く対応できる柔軟な経営を支えています。店舗ごとに異なるターゲット層や地域特性に応じた商品構成やサービスを提供することで、ドンキは幅広い層の顧客に支持されています。

デジタル化の推進と新たな挑戦

デジタル技術を活用した効率化

ドン・キホーテは、デジタル技術の活用にも積極的です。オンライン販売の拡充や、AIを用いた在庫管理、売上データの分析など、最新のテクノロジーを駆使して店舗運営の効率化を図っています。これにより、商品の回転率を向上させ、顧客が求める商品をタイムリーに提供できる仕組みが整えられています。

また、店舗内ではデジタルサイネージを活用したプロモーションや、スマートフォンを使ったキャッシュレス決済など、顧客の利便性を高める取り組みも進めています。特に、若い世代の顧客にとって、デジタル化されたサービスは大きな魅力となっており、リピーターを増やす要因となっています。

新たな市場開拓に向けた取り組み

ドン・キホーテは、国内外で新たな市場を積極的に開拓しています。アジア市場における「ドンドンドンキ」の成功は、その一例です。特に日本食材を中心に展開する戦略が現地の顧客に支持されており、今後もさらなる拡大が期待されています。

また、北米市場においてはM&Aを通じて事業拡大を進めています。現地の顧客ニーズに対応するため、店舗ごとに柔軟な経営を行いながら、新たなビジネスチャンスを模索しています。ドン・キホーテは、ただ新たな店舗を展開するだけでなく、地域の特性に応じた独自のアプローチを取ることで、グローバル市場でも競争力を発揮しています。

これからも、新しい技術や市場動向に対応しながら成長を続けるドン・キホーテは、国内外でさらなる拡大を目指しています。

このように、ドン・キホーテは革新的な経営手法と現場主導の柔軟なアプローチにより、国内外で成功を収めており、今後も多様なビジネスチャンスを追求していくでしょう。この記事を読み興味を持った方は、一度読んでみることをオススメします。

\ 詳しくは↓のページより /

目次